実績一覧
コンサルファームの案件管理・稼働管理を一元化し、稼働率の可視化を実現
コンサルティング
Consulting

コンサルファームの案件管理・稼働管理を一元化し、稼働率の可視化を実現

急成長する経営コンサルティングファームで、案件管理と人員稼働管理がスプレッドシート十数本に分散し、リソース配置がパートナーの属人的判断に依存していた。Python(FastAPI)とReact+TypeScriptで統合管理ツールを構築し、稼働率の可視化とリソース配置の迅速な意思決定を実現した。

Client
経営コンサルティング D社
Industry
Consulting
Period
2026
Tech
コンサルティング / 案件管理

背景と課題

D社は戦略立案から業務改善まで幅広い領域をカバーする経営コンサルティングファームです。ここ数年でコンサルタントの人数が倍増し、同時並行で進行する案件数も急増していました。しかし、組織の成長に管理基盤が追いついておらず、以下の課題が経営判断のボトルネックとなっていました。

  • 案件情報の分散:案件の基本情報・契約条件・アサイン状況がスプレッドシート十数本に分散しており、全社でどのコンサルタントがどの案件に何%稼働しているかを誰も正確に把握できていなかった
  • 稼働率のブラックボックス化:コンサルタントごとの稼働率がリアルタイムで可視化されておらず、特定のシニアメンバーに案件が集中する過剰アサインと、若手メンバーの稼働不足が同時に発生していた
  • リソース確認の属人化:新規案件を受注する際、空いているコンサルタントの確認がパートナー間の口頭ベースで行われており、意思決定に数日を要することもあった。案件提案のスピード感を損なう要因になっていた
  • 月末の稼働集計と請求処理の遅延:各コンサルタントの月間稼働時間を案件ごとに手作業で集計しており、請求書の発行が月初にずれ込むことが常態化していた

「人が増えれば増えるほど管理が追いつかなくなる。この状態で採用を続けるのはリスクでしかない」というマネージングパートナーの問題意識から、XECINへ管理基盤の構築をご相談いただきました。

XECINのアプローチ

パートナー・マネージャー層へのヒアリングを通じて、経営判断に必要な情報と現場が日常的に参照したい情報を整理しました。すべてを一度に構築するのではなく、稼働率ダッシュボードを先行リリースしてデータ入力の定着を確認してから、案件管理機能を段階的に追加する方針を採りました。

  • 意思決定情報の特定:パートナーが案件アサインを判断する際に必要な情報(稼働率・スキルセット・案件終了予定日)を洗い出し、ダッシュボードの要件を策定
  • データ構造設計:スプレッドシートに散在していた案件情報・アサイン情報・稼働実績を統合するデータモデルを設計。案件とコンサルタントの多対多の関係を正確に表現できる構造に整理
  • 段階リリース:フェーズ1で稼働率ダッシュボードと日次の稼働入力画面をリリースし、データが蓄積されてから案件管理・請求連携をフェーズ2として追加

実施内容

体制

  • XECINからプロジェクトマネージャー1名、バックエンドエンジニア2名、フロントエンドエンジニア1名を配置
  • D社側の経営企画担当者およびマネージャー2名と隔週の定例ミーティングを実施し、パートナー層からのフィードバックを開発へ反映

技術領域

稼働率ダッシュボードの構築

全コンサルタントの稼働状況をリアルタイムで一覧表示するダッシュボードを構築しました。コンサルタントごとの稼働率・アサイン案件・案件終了予定日を一画面で確認でき、パートナーがリソース配置を即座に判断できる環境を整えました。

  • フロントエンド:React + TypeScriptによるSPA構成
  • 稼働率をヒートマップ形式で可視化し、過剰アサイン(稼働率100%超)と遊休状態(稼働率50%未満)をカラーコードで即座に識別可能に
  • スキルセット・等級・案件終了予定日でのフィルタリング機能により、新規案件へのアサイン候補を迅速に絞り込み

案件管理・アサイン管理の統合

案件の基本情報(クライアント・契約期間・契約金額・フェーズ)とコンサルタントのアサイン情報を一元管理するモジュールを構築しました。スプレッドシートの分散管理を完全に廃止し、案件のライフサイクルをシステム上で追跡できるようにしました。

  • Python(FastAPI)によるREST API設計・実装
  • PostgreSQL(RDS)で案件マスタ・アサイン履歴・稼働実績を一元管理
  • 案件ステータスの遷移(提案中→受注→進行中→完了)をワークフローとして定義し、各ステータスでの必須入力項目を制御

稼働集計・請求連携の自動化

コンサルタントが日次で入力する稼働時間を案件・クライアント単位で自動集計し、月末の請求データを生成する仕組みを構築しました。手作業による集計を廃止し、請求処理のリードタイムを大幅に短縮しています。

  • AWS Lambdaによる月次集計バッチの自動実行
  • 案件別・コンサルタント別の稼働時間レポートを自動生成
  • 請求書ドラフトのCSV出力機能により、既存の会計システムとの連携を実現

案件別収益性分析

案件ごとの売上・稼働コストを自動計算し、収益性をリアルタイムで可視化する機能を実装しました。不採算案件の早期検知とポートフォリオ全体の収益バランスの把握が可能になりました。

  • 案件単位のGross Margin(粗利率)を自動算出し、閾値を下回る案件をアラート表示
  • パートナーごとの担当案件ポートフォリオの収益サマリーを週次で自動配信

インフラ

  • AWS上にAPI基盤を構築し、ECS(Fargate)でコンテナ運用
  • CloudWatchによるAPIレスポンス監視とアラート設定
  • S3へのバックアップとログ保管で監査要件に対応

成果

フェーズ1のダッシュボードリリースから約2ヶ月でデータ入力が定着し、フェーズ2の案件管理・請求連携のリリースを経て、以下の成果が得られました。

  • リソース配置の意思決定時間を数日→当日中に短縮。ダッシュボードを見ながらパートナー間で即座にアサインを決定できるようになった
  • 全社平均稼働率が62%→78%に向上。遊休リソースの可視化により、スキルマッチするコンサルタントを適切な案件へ配置できるようになった
  • 月末の稼働集計・請求処理工数を月40時間削減。請求書発行の遅延が解消され、キャッシュフローの改善にもつながった
  • 案件別収益性の可視化により、不採算案件を早期に検知し、契約条件の見直しやリソース再配置を迅速に判断できるようになった

「今まで感覚で行っていたアサインが、データに基づいて議論できるようになった。稼働率が見えるだけで組織の動き方がこんなに変わるとは思わなかった」とマネージングパートナーから評価をいただきました。

継続支援

現在は月次の利用状況レポートをもとに、ダッシュボードの表示項目の拡充やUI改善を継続中です。今後はコンサルタントのスキル管理機能の強化や、案件パイプライン(提案中案件の管理)との連携により、中長期のリソース計画策定を支援する機能の追加を予定しています。